テーマ：クラウドサービスの活用
目次
問4 クラウドサービスの活用に関する次の記述を読んで、設問1〜4に答えよ。
J社は、自社のデータセンタからインターネットを介して名刺管理サービスを提供している。このたび、運用コストの削減を目的として、クラウドサービスの活用を検討することにした。
〔非機能要件の確認〕
クラウドサービス活用後も従来のサービスレベルを満たすことを基本方針として、その非機能要件のうち性能・拡張性の要件について表1のとおり整理した。
〔クラウドサービスの概要〕
クラウドサービスの一覧を表2に示す。
〔システム構成の検討〕
現在運用中のサービスは、OSやミドルウェアがPaaSやFaaSの実行環境のものよりも1世代古いバージョンである。アプリケーションに改修を加えずに、そのままのOSやミドルウェアを利用する場合、利用するクラウドサービスはIaaSとなる。
しかし、①運用コストを抑えるためにオンライン処理はPaaS又はFaaSを利用することを検討する。PaaS又はFaaSでのアプリケーションは、WebAPIとして実装する。
そのWebAPIは、ストレージに保存されたスクリプトファイルがdとFWを介してWebブラウザへ配信され、実行されて呼び出される。
バッチ処理については、登録データ量が増加した場合、②PaaSやFaaSを利用することには問題があることから、IaaSを利用することにした。
検討したシステム構成案を図1に示す。
〔PaaSとFaaSとのクラウドサービス利用料金の比較〕
アプリケーションの実行環境として、PaaS又はFaaSのどちらのサービスを採用した方が利用料金が低いか、通常時の業務量の場合に掛かる料金を算出して比較する。
クラウドサービス利用料金の試算に必要な情報を表3に整理した。
PaaSの場合、通常時の業務量から、オンライン処理で必要な最小必要台数を求めると、名刺登録処理では5台、名刺参照処理ではe台となる。したがって、1時間当たりの費用はf円と試算できる。
FaaSの場合、通常時の業務量から1時間当たりのリクエスト数とCPU使用時間を求め、1時間当たりの費用を試算すると、その費用はg円となる。試算結果を比較した結果、FaaSを採用した。
〔オンラインレスポンスの課題と対策〕
クラウドサービスを活用したシステムの運用が始まるとすぐに、早朝や深夜にシステムを利用した際、はじめの画面は表示されるが名刺登録や名刺参照を実行すると、データが表示されるまでに10秒以上の時間を要することがある、との課題が報告された。クラウドサービスで提供されている各サービスのログを確認したところ、hの制約が原因であることが判明した。そこで、採用したクラウドサービスを別のものには変更せずに③ある回避策を施したことで、課題を解消することができた。
設問1 表2中のa～cに入れる適切な字句を答えよ。
解答
a：スケールアウト
b：関数
c：キャッシュ
解説
トランザクションの急増には「スケールアウト」で対応する。
似た物でスケールアップがあるが、こちらはダウンタイムを要するため適切ではない。
プログラム中で実装するとあるので「関数」。または「メソッド」だけどクラスとまでは書いてないので微妙なライン。
更新されるまで再利用されるということなのでキャッシュ。
設問2 〔システム構成の検討〕について(1)～(3)に答えよ。
(1) 本文中の下線①について、IaaSと比較して運用コストを抑えられるのはなぜか。40字以内で述べよ。
解答
PaaSやFaaSでは、OSやミドルウェアのメンテナンスが不要だから
解説
「IaaS」と「PaaSやFaaS」の違うところでコストに影響するところといったら「OSやミドルウェアのメンテナンスの有無」なので、ここの部分が答えになる。
IaaS、PaaS、FaaSの違いを覚えていなくても問題表2から導き出せると思う。
IaaS：OS、ミドルウェア、プログラム言語、開発フレームワークを自由に選択
PaaS：OS、ミドルウェア、プログラム言語、開発フレームワークはクラウドサービス側が提供
FaaS：PaaS同様＋アプリケーション実行環境をサービスとして提供
(2) 本文中のdに入れる適切な字句を、表2中のサービスの中から答えよ。
解答
CDN
解説
ストレージに保存されたスクリプトファイルをWebブラウザへ配信とあるので「CDN」。
(3) 本文中の下線②にある問題とは何か。30字以内で述べよ。
解答
バッチ実行時間が上限の10分を超えてしまう問題
解説
データ量が増えるのでCPUの使用率よりも実行時間が増えるということになる。PaaSもFaaSも実行時間が最大10分。
「表1の性能目標値のバッチレスポンスにBIツールの連携処理30分以内」とある所から、バッチ処理に10分超えることは多々あるとみられる。
設問3 本文中のe～gに入れる適切な数値を答えよ。
解答
e：8
f：2,600
g：1,800
解説
名刺参照が表1に4,000/時間とあるので、1時間当たり4,000件を捌くには
4,000 / 500 = 8台
PaaSが1台あたり200円/時間なので費用は
(5 + 8) * 200 = 2,600円
FaaSの場合は、1時間当たりのCPU使用時間
登録：1,000 * 50 = 50,000ms
参照：4,000 * 10 = 40,000ms
(50,000 + 40,000) * 0.02 = 1,800円
設問4 〔オンラインレスポンスの課題と対策〕について(1)、(2)に答えよ。
(1) 本文中のhに入れる適切な字句を、表2中のサービスの中から答えよ。
解答
FaaS
解説
・早朝や深夜なので誰も使用していない時間帯。
・データが表示されるまで10秒以上の時間を要することがある。
・クラウドサービスのサービスログを見て原因が判明した。
上記のことから、クラウドサービスの制約に引っかかっているだろうということが分かります。
クラウドサービスの中で実行時の応答制約があるのはFaaSの「20分間一度も実行されていない場合、応答が10秒以上掛かる場合がある」だけです。
(2) 本文中の下線③の回避策とは何か。40字以内で述べよ。
解答
20分未満の感覚でFaaS上のアプリケーションを定期的に呼び出す
解説
「20分間一度も実行されていない場合、応答が10秒以上掛かる場合がある」ので20分未満に実行してあげれば、この制約は回避できることになります。
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