テーマ:ワイヤレス防犯カメラの設計
目次
- 1 問7 ワイヤレス防犯カメラの設計に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。
- 2 設問1 時刻t1に動体を検知して自動撮影を開始した。時刻t1から時刻t2まで途切れることなく自動撮影を続けており、時刻t2に最後の動体を検知した。このときの自動撮影は何秒間行われたか。時間を表す式を答えよ。ここで、処理の遅延及び通信の遅延は無視できるものとする。
- 3 設問2 スマホから要求を行い動画の視聴を開始した。その10秒後に送受信の通信障害が20秒間発生した。通信障害が発生してから5秒後にスマホから遠隔撮影開始を要求した。スマホでの視聴が終了するのは視聴を開始してから何秒後か。整数で答えよ。ここで、処理の遅延及び通信の遅延は無視できるものとする。
- 4 設問3 〔ワイヤレスカメラの状態遷移〕について、(1)~(3)に答えよ。
- 5 設問4 〔サーバに送られた動画データの不具合〕について、(1)~(3)に答えよ。
問7 ワイヤレス防犯カメラの設計に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。
I社は、有線の防犯カメラを製造している。有線の防犯カメラの設置には通信ケーブルの配線、電源の電気工事などが必要である。そこで、充電可能な電池を内蔵して、太陽電池と接続することで、外部からの電力の供給が不要なワイヤレス防犯カメラ(以下、ワイヤレスカメラという)を設計することになった。
ワイヤレスカメラは、人などの動体を検知したときだけ、一定時間動画を撮影する。撮影の開始時にスマートフォン(以下、スマホという)に通知する。また、スマホから要求することで、現在の状況をスマホで視聴することができる。
〔ワイヤレスカメラのシステム構成〕
ワイヤレスカメラのシステム構成を図1に示す。ワイヤレスカメラはWi-Fiルータを介してインターネットと接続し、サーバ及びスマホと通信を行う。

- カメラ部はカメラ及びマイクから構成される。動画用のエンコーダを内蔵しており、音声付きの動画データを生成する。
- 動体センサは人体などが発する赤外線を計測して、赤外線の量の変化で人などの動体を検知する。
- 通信部はWi-FiでWi-Fiルータを介してサーバ及びスマホと通信する。
- 制御部は、カメラ部、動体センサ及び通信部を制御する。
〔ワイヤレスカメラの機能〕
ワイヤレスカメラには、自動撮影及び遠隔撮影の機能がある。
(1) 自動撮影
- 動体を検知すると撮影を開始する。撮影を開始したとき、スマホに撮影を開始したことを通知する。
- 撮影を開始してからTa秒間撮影する。ここで、Taはパラメタである。
- 撮影した動画データは、一時的に制御部のバッファに書き込まれる。このとき、動画データはバッファの先頭から書き込まれる。Ta秒間の撮影が終わるとバッファの動画データはサーバに送信される。
- 撮影中に新たに動体を検知すると、バッファにあるその時点までの動画データをサーバに送信し始めると同時に、更にTa秒間撮影を行う。このとき、動画データはバッファの先頭から書き込まれる。
(2) 遠隔撮影
- スマホから遠隔撮影開始が要求されると撮影を開始する。
- 撮影した動画データはスマホに送信され、そのままスマホで視聴することができる。
- スマホから遠隔撮影終了が要求される、又は撮影を開始してから60秒経過すると撮影を終了する。
- 撮影中に再度、遠隔撮影開始が要求されると、その時点から60秒間又は遠隔撮影終了が要求されるまで、撮影を続ける。
- ワイヤレスカメラとスマホが通信するときに通信障害が発生すると、データの再送は行わず、障害発生中の送受信データは消滅するが、撮影は続ける。
〔ワイヤレスカメラの状態遷移状態〕
(1) 状態
ワイヤレスカメラの状態を表1に示す。

(2) イベント
状態遷移のトリガとなるイベントを表2に示す。

(3) 処理
状態遷移したときに行う処理を表3に示す。それぞれのタイマは新たに設定されると、直前のタイマ要求は取り消される。

ワイヤレスカメラの状態遷移図を図2に示す。

〔サーバに送られた動画データの不具合〕
自動撮影のテストを行ったとき、サーバに異常な動画データが送られてくる不具合が発生した。通信及びハードウェアには問題がなかった。
この不具合は、自動撮影中に動体を検知したときに発生しており、バッファの使い方に問題があることが判明した。
そこで、撮影中に新たに動体を検知した時点で、書き込まれているバッファの続きから動画データを書き込み、バッファのdまで書き込んだ場合は、バッファのeに戻る方式のfに変更した。
設問1 時刻t1に動体を検知して自動撮影を開始した。時刻t1から時刻t2まで途切れることなく自動撮影を続けており、時刻t2に最後の動体を検知した。このときの自動撮影は何秒間行われたか。時間を表す式を答えよ。ここで、処理の遅延及び通信の遅延は無視できるものとする。
解答
(t2 – t1) + Ta
解説
最後の動体を検知するまでの時間”t2 – t1″に動体検知後の自動撮影時間Taを足す。
設問2 スマホから要求を行い動画の視聴を開始した。その10秒後に送受信の通信障害が20秒間発生した。通信障害が発生してから5秒後にスマホから遠隔撮影開始を要求した。スマホでの視聴が終了するのは視聴を開始してから何秒後か。整数で答えよ。ここで、処理の遅延及び通信の遅延は無視できるものとする。
解答
60
解説
〔ワイヤレスカメラの機能〕の(2)遠隔撮影から、「ワイヤレスカメラとスマホが通信するときに通信障害が発生すると、データの再送は行わず、障害発生中の送受信データは消滅するが、撮影は続ける。」とあるので、視聴中に送信した遠隔撮影開始要求は消滅している。なので、視聴開始から60秒で終了する。
設問3 〔ワイヤレスカメラの状態遷移〕について、(1)~(3)に答えよ。
(1) 図2の状態遷移図の状態S1、S2に入れる適切な状態名を表1中の状態名で答えよ。
解答
S1:遠隔撮影状態
S2:自動撮影状態
解説
S1は遠隔撮影開始イベントと動画データ通知イベントがあるので、遠隔撮影状態。
S2は動体検知通知イベントと動画データ通知イベントがあるので、自動撮影状態。
(2) 図2中のa、bに入れる適切なイベント名を、表2中のイベント名で答えよ。
解答
a:遠隔撮影開始イベント
b:自動撮影タイマ通知イベント
解説
待機状態から遠隔撮影状態に移行するのは、スマホから遠隔撮影開始が要求された場合となるので、遠隔撮影開始イベント。
マルチ撮影状態から遠隔撮影状態に移行するのは、自動撮影が終了した場合になるので、自動撮影タイマ通知イベント。
(3) 図2中のcに入れる適切な処理を、表3中の項番で全て答えよ。
解答
①③⑦
解説
待機状態から撮影状態に移行するので、カメラ初期化が必要。
動体検知して自動撮影するので、自動撮影タイマを設定して撮影開始する。
設問4 〔サーバに送られた動画データの不具合〕について、(1)~(3)に答えよ。
(1)不具合が発生した理由を40字以内で述べよ。
解答
書き込みと読み込みが同時に行われ、バッファの先頭のデータが上書きされた
解説
〔ワイヤレスカメラの機能〕の(1)自動撮影にある
「撮影中に新たに動体を検知すると、バッファにあるその時点までの動画データをサーバに送信し始めると同時に、更にTa秒間撮影を行う。このとき、動画データはバッファの先頭から書き込まれる。」
から導き出される。
送信速度よりも書き込み速度が上回ると上書きされデータを破壊してしまう。
(2)本文中のd、eに入れる適切な字句を答えよ。
解答
d:終端
e:始端
解説
先頭から書き込むのが問題となるので、続きから書き込んで行き、バッファの終端に達したら始端へ戻る様にすれば、この問題を回避できる。
「終端、末尾、最後」、「先端、先頭、最初」でも良さそう。
(3)本文中のfに入れるバッファの名称を答えよ。
解答
リングバッファ
解説
これは単語を覚えておく問題。
サーキュラーバッファ、環状バッファでも良さそう。
コメントを残す